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もめている場合の相続税申告の期限
1 相続税申告の期限
相続税申告の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内と定められています。
例えば、1月1日に亡くなった場合、相続税の申告期限は、その年の11月1日までとなります。
この期限については、基本的に延長は認められていません。
たとえ相続人同士でもめてしまい、期限までに財産の分け方が決まらなかったとしても、財産を法定相続分通りに分けたと仮定して、相続税申告をする必要があります。
もっとも、災害・感染症拡大などの影響から、相続税の申告期限についても、期間の延長が認められる制度が作られたことはあります。
相続税申告期限の延長は、個別に申立をする必要がありますので、詳しくは、相続税に詳しい税理士にご相談ください。
2 期限内に相続税申告をしなかった場合のデメリット
期限内に相続税申告をしなかった場合、デメリットとして、特定の相続税の控除特例が使えなくなったり、無申告加算税等のペナルティが課せられたりします。
⑴ 特定の相続税控除特例が使えなくなる
相続税には、特例と呼ばれるものがあります。
簡単にいうと、相続税を抑えるための特別措置のことです。
特例については、いくつかありますが、相続税申告期限を守らないと、農地の納税猶予、事業承継税制(非上場株式の納税猶予)、ほとんどの相続税申告で使う小規模宅地等の特例が使えなくなる場合があります。
「特例を使えば、相続税額が抑えられたのに」ということにもなりかねませんので、期限までに相続税申告を行いましょう。
⑵ 無申告加算税等のペナルティが課せられる
相続税を期限までに納めなかったペナルティとして、無申告加算税、重加算税、延滞税が課せられる場合があります。
重加算税の税率は、非常に高い税率となっています。
また、相続税申告期限を過ぎてしまうと、延滞税もほぼ確実にかかってきます。
そのため、申告期限内に相続税申告を行い、期限に間に合いそうにない場合は、すぐに相続税に強い税理士に相談しましょう。
3 相続税申告後に遺産の分け方が決まった場合の対応
相続人間で遺産の分け方が決まらず、相続税申告の期限までに間に合わない場合、一旦、法定相続分通りに取得したものとして、仮の相続税申告を行います。
申告後に、遺産の分け方が決まった場合、修正申告又は更正の請求を行い正しい申告を行います。
また、仮の申告の際は、配偶者の税額軽減の特例や小規模宅地等の特例を使うことができません。
そこで、仮の相続税申告のときに申告期限後3年以内の分割見込書を添付し、遺産の分け方が決まった後に、再度税務署に申告をすることにより、これらの特例を使うことが可能になります。
このように、相続税申告期限までに遺産の分け方が決まらない場合であっても、対応することができますので、相続税申告期限までに間に合わない場合は、すぐに、税理士にご相談ください。